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2012年10月22日(Mon) 【【創作】恋愛モノを書きたかった】 「ピアノも、弾けたんだね」 私が声をかけると、ドキリ、としたように響いていたピアノの音が止んだ。 「昔、習ってたから……」 心を和ますような、柔らかいピアノの音。 それが今はざあざあと降る突き刺さる様な雨音に変わって。 「……そんなこと、全然知らなかった」 いつも座ってた彼女の隣。 今日は彼女のヴァイオリンが陣取ってて。 「……もう下校時刻だよ」 悔し紛れにそう言った私を、彼女はどんな眼で見たのだろうか。 少なくとも、今までのような優しい瞳では無かったんだろうな。 カタン、とピアノを閉める音で我に返る。 「もう、帰るの?」 私ながら、アホな質問だ。 「……下校時刻なんでしょ?」 そう告げたのは、別れようと言ってしまったのは自分なのに。 「雨、降ってるよ」 「知ってる」 「……私、傘わすれちゃったんだ」 それは、2人の合言葉だった。 本当は忘れてなくても、雨の日はそう言って、無理やり2人で傘に入りながら雨に濡れて。 「ごめんね、今日、ヴァイオリン持ってきてるから」 レインコートなんだ、と彼女はどこか平坦に呟いた。 知ってるよ。 でも、そんな時でも、傘持ってたじゃん。 前にてるてる坊主みたいと笑いあってた彼女のレインコート姿。 今でも、手を伸ばせばそこにいるのに。 近いようで、遠くて。 「ごめんね。入れてあげられなくて」 そう言って彼女は足早に去っていく。 わざわざ謝らなくてもいいのに、下校時刻まで音楽室に居たのも私と顔を合わせたくなかったからだろうに、そういう無駄に丁寧な性分が私は好きで。 だいすきだったんだ。 てるてる坊主は離れていく。 私の瞳の雨も止ませないで。 03:58 コメント(0)/トラバ(0) [コメントを書く] 重要なお知らせ@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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