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2010年10月03日(Sun) 【人三化七 に.202(内)】 「伊藤……えっと、何さん、ですか?」 「……あ、そのままキノって読みます」 「木乃……あ、はい、わかりました」 「いえ、妙な名前でごめんなさい」 「いやいや、こちらこそお手数をお掛けして……」 …………あ、はい。こんにちは。神 知克です。大層な名前ですが身長150足らずの童顔なので今世紀一番の名前負け物件を自負しております。 とりあえず伊藤さんを部屋に招き入れ、誤解を謝り、引っ越し蕎麦をお渡しし、互いに自己紹介を終わらせました。最大の謎であるあの包帯は、単に私服だそうでほっとしたんだかしてないんだか、心臓は未だに高鳴りを潜めることがありません。 「いや、それにしても神くんが隣人で良かったですよ」 「あ、はあ、そうですか?」 取り憑きやすそうだからですか、などと言いかけた言葉を、すんでのところで飲み込み辛うじてそう返すと、伊藤さんはにこにこと微笑みながら返します。 「いや、このアパートまともな人が少ないんで……」 …………俄かに耳を疑う発言。微かに積み立てられた信用が、音を立てて崩れる錯覚。 「え……っと、ちょっと待って下さい伊藤さん」 「木乃でいいですよ」 「あ、じゃあ木乃さん。」 どんな時でも謙遜の心を忘れない、日本人の鑑のような木乃さんに胸が熱くなりましたが、そういう問題ではなく。 「御自覚が……おありで?」 「え?ああ、勿論じゃないですか」 いや、そう言い切られても困るのですが。いや、しかし、やはりと言うべきでしょうか、多少ならずとも自覚があるというのは喜ばしいことなのでしょうが、しかし、ならば、何故……直さない、のか。 いやでもやはりそこは個人の心情、或いは信条があるのでしょう。僕なんかが思いもよらない、何かが!だとしたら僕如きが口を出すことは何もありません。怖いし。それに…… 「神くん?」 「あ、あっ!はいっ!!」 「大丈夫かな、急に黙っちゃったみたいだけど……?」 「あ、いえ、お気になさらず!」 と、木乃さんは珈琲の飲み過ぎからくる不眠によって血走った眼で、僕の様子を窺います。思わず身震いをしますが、どうにか否定の意を表す首の動きへと移行することで木乃さんに失礼のないよう、努力します。 「そう、ならいいけど……」 僕でこの調子じゃ、先が思いやられるよ?と真顔で言う木乃さんに抱いた恐れは、やはり見た目のせいだけだと思いたいです。決して……決して物怖じしたわけでは、ないと。「まともな人少ない」のまともな人、の方に……木乃さんが入っているんじゃないかって、不安になんかなってないです。はい。 まあ、結論として木乃さんがまともなことに安堵を覚えるわけなんですけども。 02:39 コメント(0)/トラバ(0) [コメントを書く] 重要なお知らせ@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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