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掃き溜め戦隊くずかごん

2011年09月21日(Wed)
【自分の生き方が不真面目だと思って死にたくなるパラドックス(創作、途中放棄)】


――――創作者の利点とは、何を書いても「これネタだから」の一言で片付けられるところにある。





 などと馬鹿馬鹿しい文言のみを書き、私は筆を置いた。


 そして小さく伸びをし、自らの認識の甘さに溜め息を吐く。


 「創作者の利点」……全く、我ながらよくもまあここまで底抜けに間抜けなフレーズを思い付いたモノだ。





 そんな物、ありはしないというのに。







 そう書いた刹那、私は耐え難い違和感を抱き半ば衝動的に原稿用紙に大きなバツ印を描く。

 そのバツ印がまるで宝の地図か何かのように上手いこと描け、自らの力量に惚れ惚れしつつ原稿を見直す。



 完璧な、90°で交わる、2つの線。



 長さは、均一。



 太さも、色も。



 完璧に。



 ただひとつ。



 そのバツ印の中央に光る、「創作者の利点」という文字が不愉快だった。






「まだ書いているのかい?」


 耳慣れた声にハッと顔をあげてみると、見慣れたにやけ面がこちらを見据える。


「そんなに根詰めてたら脳みそ茹だっちまうぞ?」


 リラックス、リラックスと微笑みながらヤツは缶コーヒーを机に置く。


「……原稿が濡れたらどうする」
「そんときゃオレが代わりに書いてやるよ」
「何書いてるかもわかってないクセによく言えるな」
「わかってるって」



 お前が「創作者の利点」を探してることぐらい。






 コトン



 突如後ろからかけられた声に私は驚きペンを取り落とす。


「うぃっす。びびった?」
「…………すこぶる」
「集中してたもんなぁ」
「どうにも、話が纏まらなくてね」


 悪びれもせずにケラケラと笑ってみせる友人に溜め息混じりに答える。


「創作者の利点について書きたいんだが」



「無いよ」






 今度は、どこからした声というわけでもなく。



 ああ、成る程。と思い至り、筆を折った次第である。





――――「遺書」とだけ書かれた封筒に入っていた、とある自殺した作家の遺稿全文。





01:43
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