【今日の夢(武装錬金)】
原作全１０巻を読了し、武装錬金∞も少しずつ読み進めつつ、小説も何処かの古本屋に埋もれていないか、今頃からでもお取り寄せは出来るものなのか、念頭に置き始めた今日この頃。
昨日は父の日でありましたが、先週頃からＴＶで毎日日にち、それこそ催眠術のように、
「今週末は父の日ですね。」「もうじき父の日ですね。」
と刷り込まれ続け、ダメ押しに点けっぱなしだったＴＶから《父の日特集》を図らずも睡眠学習したお陰で、とうとう【武装錬金】でカオスな夢を見ちゃいましたよ！(笑)
いやまぁ、カオスなのはいつもの事とはいえ、今回の夢はそれに加えて、出演キャラが予想の斜め上を行ってましたね。
先に言っておきますと、カズキや斗貴子さんは一切出てきません。
そればかりか、ヒロインの双璧をなす(？)パピヨンもあろう事か、名前のみの登場に終始。
では、誰がメインの夢だったのか。
ブラボー？
バタフライ？
ヴィクター？
むーん、惜しい！
正解は……
パピヨン製ホムンクルスの皆さんでした★
なんというニアミスサドネス。
パピヨンまで来といて、何故にそっちへ逸れてしまったか、我が夢オファーよ。
それでは、以下が今日見た夢の内容となります。
【武装錬金】のネタバレ、捏造、キャラ崩壊、最終回以降の設定も盛り込んだ内容となっていますので、ご注意ください。
「先刻、戦団の運搬班から聞いたのだが、アチラではもうじき“父の日”らしい。」
「父の日？なにそれ美味しいの？」
錬金戦団から届けられたばかりの件のミートパイを広げ、それぞれ口に運ぶパピヨン製ホムンクルス達。
普段はヴィクトリアの指示の下に分担を任され、バラバラに活動している彼等だが、今日のように定期便がやってくる日だけは、月見ならぬ地球見をしながら、皆で食事をするのが通例となっている。
３６０度見渡す限りの黒と紫紺、そして足下の灰色。
そんな味気ない色が大部分を占める宇宙に於いて、唯一単独で多彩な色を持つ球体。
今丁度、背に浮かぶ地球は自分達の生まれ故郷・日本が見える面を、こちらに向けていた。
ヴィクターに先導され、地球上のホムンクルス達が月に渡って、幾月――
ホムンクルスの食糧を載せた定期便も滞りなく、少しばかり暇だという贅沢な悩みを抱えつつ、錬金戦団との良好な関係とこれ以上ないスローライフが平和に続いていた。
最初の内こそ地球を恋しがって泣く輩も居たが、身内の献身的なケアにより、そのホムンクルスも今では以前のようにペラペラと軽口を叩けるように…。
皆にミートパイが行き渡るのを待ってから話題を振った巳田は、一番に飛び付いて来たのが蛙井だった事に、苦々しい面持ちで目を閉じた。
定型文だか何か知らないが、別段心にも思っていない事をわざわざ口にして、時間を無駄にする意味が分からない。
こんな事なら、悄気て大人しくしていた頃の方がマシだったと。
これに関しては、巳田程ではないにしろ、この場に居る半数近くが同様の気持ちを抱いていた。
無視して話を続けるべきか。
今は表層に出してない筈の鱗が逆撫でられるような不快感に見舞われ、空いてる方の手でもう片方の腕を擦りつつ、次の言葉を思案していた巳田より先に口を開いたのは、生真面目さでは彼に比肩する鷲尾だった。
「知っているぞ。
父の日…それは年に一度、子が父親に日頃の感謝を伝えるという特別な日。
断じて、食べ物ではない。」
言ってる事は正しいが、ズレている。
これは、この場に居た全員が思った事だった。
「ネタにマジレスされても困るんですけど。
ねぇねぇ、子どもが父親にって事はさ～。
それってつまり、僕が子蛙達から感謝される為にあるような日だよねぇ。
あ、羨ましいなら君達も混ぜてあげても良いよ？ 敬ってくれる人数が多ければ多い程、僕も愉しいしね。」
このナメた口の利きように、蛙井の扱いは熟れたものの花房が刺々しく苦言を呈す。
「自演乙。
誰もお前の話などしていないし、そんな吐き気しか催さない記念日があって堪るものか。
私達が感謝を捧げるべき相手といえば、この世で唯一人…創造主に決まっている。」
「その通り。
たとえ人工の生命といえど、我々を生み出し、戦いで斃れた我々に今一度の命をお与え下さったのは、創造主に他ならない。
あまり巫山戯た事ばかり抜かしていると、このパイの次は貴様を腹に収めるぞ。
不味いだろうが、腹持ちだけは良さそうだからな。」
花房達の言葉を受け、創造主と邂逅した時の事を昨日の事のように思い浮かべ、今も薄れ得ぬ恩義を胸に、感慨深げに何度も頷く鷲尾の傍ら。
話を本筋に戻してくれた花房に追随しつつ、溜まりに溜まっていた蛙井への苛立ちを、きっちり上乗せする巳田。
巳田の冷ややかな一睨みは、蛙井に捕食者と被食者の関係を本能的に思い出させた。
「ヒィッ！やややめてよ、僕はほんと美味しくないし、何の栄養にもなんないって！
腹持ちどころか、お腹壊しちゃいますよ！絶対ッ！」
ガタガタと全身を震わせ、ペコペコと頭を下げる蛙井。
差し迫る命の危機に本気で戦慄したらしく、これで暫くは落ち着いた時間が訪れるだろう。
とはいえ、姑息な蛙井の平謝りはその場凌ぎの一発芸に近く、所詮は喉元を過ぎるまでではあるが。
よって、真面目に話を進めるのなら、蛙井が萎縮している今をおいて他にない。
だが、新たな火種は全く別の方向から飛んできた。
「なあ、オイ。
創造主が俺達全員の頭であって、礼を尽くす相手ってのは俺も文句ねえが、一概に“父親”と決めつけて良いもんなのか？」
こう言ったのは、それまで食事に集中していた猿渡。
突拍子もない発言だが、蛙井と違うのは本人は至って真剣という所である。
因みに、彼の言う全員には子分の猿達も含まれる。
「妙な事を言う。
貴様は何か、あの成りをして創造主が“母親”かも知れぬと、そう言いたい訳か？
まあ、確かに。数ヶ月ぶりに彼岸より呼び起こされてみれば、随分と様変わりしてはおられたが…」
特技は、ありとあらゆる事に心の底から無関心になれるコト。
そう自負していた巳田が徹底して無関心を装えなかったのが、蝶人パピヨンの例の格好とテンションだったらしい。
「いや、創造主は何だかんだ面倒見が良いし、人間共にもよく世話を焼いてやったりするだろ？
俺はただ、おっかねえくらい野心家で男らしい中にも、そこらの女よりよっぽど上等な母性も持ち併せてる事が言いたかっただけで、別に女として見てる訳じゃあ…。
まあ、あの格好には俺もたまげたがね。」
訂正しつつも共感を示した辺り、サル山の序列よろしく、ボスは大正義として呑み込んだものが猿渡にもあったよう。
そんな２名を忠誠心が足りないとし、鼻でせせら笑ったのは花房だ。
「フン。その程度の事で揺らぐなんて、お笑い草ね。
どんな容姿をされていようと、創造主は創造主。
変わったというのなら、創造主は蝶人になられてから、より逞しくなられた。身も心も…。
そう、たとえ創造主が思わず息を呑む程の美しさと色香を醸しているとしても、それは讃えこそすれ、男ではない証明にはならない。
そもそも！創造主は私が想いを寄せる御人なのだから、殿方であって頂かないと…！」
（（（結局は、お前の都合じゃねーか！）））
巳田と猿渡、ついでに蛙井が心の内で盛大にツッ込んだ。
言いたいのは山々だったが、ヒステリー症の女に反論しようものならより面倒な事になると、心の声に留めたのは賢明な判断と言えよう。
そんな中、生前は大自然の覇者だった名残か、我が道を行くのが鷲尾である。
「案ずるな、花房。
体構造からして、創造主が男子であるのは確実。
身の程を弁えないのは如何ともし難いが、自然の摂理に於いて、より魅力的な伴侶を欲するのは極自然なこと。
創造主の迷惑にならぬ程度に、好きなだけ好意を寄せるが……いや待てよ。
自然界に於いて、子を成すのにつがいは必要不可欠。
だがしかし、子を産み落とすのは総じて雌！
なれば、御一人で我々を生み出して下さった創造主とは、一体…！」
元・天然記念物は頭にも少々天然が入っていた。
これに何故か追随したのが、猿渡だ。
「実を言うと、そこは俺も気になっていた所だ！
そういう風に詰めていくと、創造主は“父親”でもあるが“母親”にもなって、頭がこんがらがっちまう！」
自分は寧ろ、お前達の発言で頭が痛い。
自ら混乱状態に陥った者共が、これ以上煩わしい事にならないよう、巳田はさっさと解を提示する。
「その答えは簡単だ。
先刻も言ったが、我々は人工の生命であり、自然的に生じたものではない。
超常である以上、自然法則は適用されない。」
「または、雌雄同体ってのもあるしね。」
復活すると同時に、比較的まともなフォローを入れて来た蛙井に、巳田の視線が苛立ちを伴わずに僅かに動く。
だが、それも一瞬の奇蹟だったようで。
「ああでも、どっちか選べるって言うなら、僕は女の子の方が良いなぁ。
それで、出来るなら飛びっきりの美少女で♪」
次の瞬間には、下卑た笑みを隣で黙々とミートパイを食んでいた、ヴィクトリアに向けていた。
いつもという訳ではないが、パピヨンの友人(？)で地球に居た頃から面識もあった事から、彼女も彼等としょっちゅう食事を共にしているよう。
「盛り上がってる所、水を差すようだけど、」
と、ここでヴィクトリアが徐に口を開いた。
「今年中に記念日に託つけて何か祝うつもりなら、彼の定義は“父親”にしておく他ないわよ。
母の日は、とっくに過ぎてるのだから。」
鶴の一声により、成る程と口を閉じる面々。
うち数名は、それならば仕方ないと己を納得させながら。
だが、ヴィクトリアの講義はそれで終わりではなかった。
「でも、そうね。
もし、どうしてもどちらか一方に決められないというのなら、アナタ達の場合はどっちもって事にすれば良いじゃない。
パピヨン…アナタ達の御主人様は、人間でもホムンクルスでもなければ、ヴィクターでもない第４の存在。
当の本人が括りに縛られずに気儘にやってるのだから、アナタ達が細かい事を気にする必要なんかないわ。」
それに彼はお祭り騒ぎとか好きそうだし、来年からでも２回とも祝うようにすれば、寧ろ喜びそうなものだけど？
この結論に、パピヨン製ホムンクルス達は今度こそ満場一致での満足を得られた。
創造主の歓喜が自分達の至福なのは当然として、通例に囚われぬ斬新な解こそ、何とも創造主が好まれそうなものではないか。
だが、目の前の問題が解決した所で彼等はふと、より大きな問題に気付いてしまった。
自分達は地球へと降りられない。
直接祝うのなら、パピヨンを何らかの手段で呼びつけて、彼から月まで出向いて貰うより他にない事に。
という、壮大に何も始まらない夢を見たのさ☆
父の日ネタなのに、刺爵は兎も角として、ヴィクターすら絡んで来ない、この残念極まりなさよ。(笑)
起きた後で思うに、パヒホム達はこの後、某ロボットアニメみたく、月にハートマークとパピヨンの文字を彫れば良いんじゃないかと。
そうすれば、パピヨンもすっ翔んで来てくれる事でしょう。“カズキ”の名を追記せんとして。
しかし、一部ホムンクルスの言動には、原作で知った人間時のデータが見事、反映されてましたね。
その裏ネタの中でも、２０体の内で唯一、被験体にされた理由が“蝶野の逆恨み”だった鷲尾の不条理さは、暫く心に残りそうです。(笑)
23:51
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